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豆はざ

列島をすっぽり覆っていた寒気が少し遠ざかって、
今日は久し振りにいい天気。
晴れ渡った青空に向かって、ああいい気持と大きく深呼吸。
畑のはざに掛けられた豆の束が、ほんの少しの風にかさかさと音をたてて・・・

     ◇   冬晴れに豆はざ乾く風少し   ◇

冬晴れの豆はざ乾く風少し.jpg                  

 

山茶花.jpg
                  ちょっと色が淋しいので、まだ咲き残っている山茶花をおまけに


南天の実

年賀状の準備をと心づもりを始めている方も多いことだろう。
そんなこのごろは、喪中葉書が届く時期でもある。
親の喪中の知らせはめっきりと減った代わりに、
伴侶の喪中葉書がひっそりと届き、胸をつかれることも。
そんな年代になったんだなと・・・

     ◇   喪中はがき郵便受けに実南天   ◇

南天の実.jpg
                     赤い南天の実の鮮やかさが、かえって儚さをつのらせる。


水鳥

水鳥は冬の季語。
当地の水鳥の代表は鴨、近くの池にも鴨たちが集まってきている。
先日池の周りを散歩していると、お馴染みの鴨とはちょっと様子の違う水鳥が・・・
全身真っ黒、池の端の方の茶色っぽい水草のあたりで餌をつついている様子。
初めて見かける鳥、何という鳥だろう?

食餌中.jpg

暫くそのあたりで餌をつついていたが、お食事終了という感じで、くるりと一羽が向きを変える。
一羽がくるり、それに続いてまたくるり・・・
つぎつぎと池の真ん中へ泳ぎ始める。
きらきら輝いている水面の中へ入っていこうとするかのように。
金子みすずの詩の「明るいほうへ」の一節がちらりと心をよぎる。

     明るいほうへ     金子みすず 

       明るいほうへ、明るいほうへ
       一つの葉でも 陽の洩るとこへ
       藪かげの草は

       明るいほうへ、明るいほうへ
       はねは焦げよと 灯のあるとこへ
       夜飛ぶ虫は

       明るいほうへ、明るいほうへ
       一分もひろく、日の射すとこへ
       都会(まち)に住む子等は 

     ◇   水鳥や水面明るいほうへほうへ   ◇

水鳥や水の明るいほうへほうへ.jpg

この鳥、真っ黒だけど、鵜ではなし、
名前が知りたくて、図鑑で調べてみたけれど見つからない。
黒鴨とかオオバンとかに似ているけど、やっぱり違う・・・とうとう分からずじまい。


黄葉 紅葉 落葉

長らくご無沙汰していました。

ご無沙汰してる間に、稲刈りも秋祭りも随分前に終わり、
周りはもう冬めいた景色。
小春日に恵まれた一日、久し振りに郊外の紅葉を尋ねました。

最初に出逢ったのが樹齢六百年の大銀杏。

     ◇   大銀杏黄葉まぶしみつつ仰ぐ   ◇

岩部神社大銀杏.jpg

 

御神樹の銀杏は金色の落ち葉を絨緞のように降り積もらせていました。

     ◇   金色の落ち葉を踏んで寄る大樹   ◇

金色の落ち葉を踏んで寄る大樹.jpg

 

さあっと出てきたお日様に鳥居の影が濃く落ちて。

    ◇   鳥居影銀杏落ち葉にくっきりと   ◇

鳥居影銀杏落ち葉にくっきりと.jpg

 

奥へ奥へと車を走らせて待望の紅葉にも出会えました。

     ◇   溜息に似たる歓声紅葉山   ◇   

もみじ.jpg

 

     ◇   紅葉の色極まり言葉などいらぬ   ◇

もみじあっぷ.jpg

もう遅いかもと思いながら出掛けたのですが、山間は精一杯の色を見せてくれた
嬉しい一日でした。


鳥威し(とりおどし)

実った稲穂をついばむ雀などの鳥を追い払うための仕掛けが鳥威し。
威し銃を使ったり、カラカラ音の出るものをぶら下げたり。
昔は鴉の屍を吊り下げているのを見かけたこともあった。
水不足が心配されたりしたが、今年も稔りの季節を迎え稲穂がたわわに色づいて。
この田んぼは、きらきら輝くテープが稲の上に張り巡らされて、
雀退治の一翼を担っているようだ。


    ◇   煌(きらめ)きは張りしテープや鳥威し   ◇

煌きは張りしテープの鳥威し.jpg


糸瓜忌

九月十九日は糸瓜忌、正岡子規の命日である。
< 糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな > < 痰一斗糸瓜の水も間にあはず >
< をとゝひのへちまの水も取らざりき > 等の辞世の句から糸瓜忌と称される。
糸瓜忌に合わせて子規の終世の居となった東京根岸の子規庵で子規遺品展の
展示を行っているとの新聞記事をみつけた。
「墨汁一滴」に<三寸の地球儀>と記した地球儀も展示されているという。


 「墨汁一滴」の一節に

 病める枕辺(まくらべ)に巻紙状袋(じょうぶくろ)など入れたる箱あり、その上に寒暖計を置けり。その寒暖計に小き輪飾(わかざり)をくくりつけたるは病中いささか新年をことほぐの心ながら歯朶(しだ)の枝の左右にひろごりたるさまもいとめでたし。その下に橙(だいだい)を置き橙に並びてそれと同じ大きさほどの地球儀を据(す)ゑたり。この地球儀は二十世紀の年玉なりとて鼠骨(そこつ)の贈りくれたるなり。直径三寸の地球をつくづくと見てあればいささかながら日本の国も特別に赤くそめられてあり。台湾の下には新日本と記したり。朝鮮満洲吉林(きつりん)黒竜江(こくりゅうこう)などは紫色の内にあれど北京とも天津とも書きたる処なきは余りに心細き思ひせらる。二十世紀末の地球儀はこの赤き色と紫色との如何(いか)に変りてあらんか、そは二十世紀初(はじめ)の地球儀の知る所に非(あら)ず。とにかくに状袋箱の上に並べられたる寒暖計と橙と地球儀と、これ我が病室の蓬莱(ほうらい)なり。

と記されている<地球儀>である。興味深いが見に行くのはちょっと無理。

     ◇   糸瓜忌や三寸の地球と記(しる)せしよ   ◇

地球儀.jpg
これは我が家の地球儀、
この地球儀も三十年以上も前の物、今の世界の国境とは相当違っている。


秋の蝶

秋めいて来たこのごろ、揚羽蝶をよく見かける。
春や夏の蝶より、ゆっくりと翔んでいるように見える。
大振りの黒揚羽は「ゆうらり」とも言えるような感じ。
写真の揚羽は黒揚羽ほど大きくはないが、それでもゆったりとした感じで、
ひ~ら、ひ~らと連れ立って翔んでいった。

     ◇   屋根越えて連れ翔ぶ秋の揚羽かな   ◇

屋根越えて秋の揚羽の連れ翔びぬ.jpg


厄日

歳時記の厄日の項に、
「立春から二百十日に当たる九月一、二日前後は気候の変わり目で、
暴風雨が来襲することが多い。丁度稲の花期で、農家では特にこの日を警戒する。
二百二十日は二百十日から十日めで、二百十日と同様台風が恐れられている。
農家ではこの両日を厄日としている」 と記載されている。
今年の厄日、当地は晴れ渡った青空で、ときに涼風の吹く穏やかな一日だった。
折から台風十一号が発生していて、やはり厄日となった地域もあったようで、
被害のあった方々にはお見舞い申し上げます。

     ◇   こともなく厄日の鷺の並びけり   ◇

こともなく厄日の鷺の.jpg


紅蜀葵(こうしょっき)

ご近所に紅蜀葵の花が開き始めて、もう随分たつ。
もみじあおいとも言うらしいが、茎に一つだけ花を付ける。
そして夕方にはつぼんで落ちる。
毎日毎日花を開く。毎日毎日つぼんで落ちる。
一日で散ってしまう花だが、本当に精一杯という咲きよう。
一日花の儚さよりは、健気というほうが相応しいような・・・

     ◇   きっぱりと咲き夕は散る紅蜀葵   ◇

紅ショッキ.jpg


百日紅

百日紅の花が咲き次いでいる。
現役のころ通勤途中で見た見事な百日紅のことを
この時期になると思い出す。
我が家のご近所の百日紅は、花の付き様がちょっぴり寂しい。

最近また歯が痛くなって歯医者さん通い。
その帰り道、満開の百日紅に出会った。うわ~綺麗と思わず見とれて。
百日紅の花が歯の痛みを取ってくれたような・・・
ほんとうは歯医者さんの治療で痛みが止まったんだけど、
百日紅のお蔭と思えるような花の色にうっとり。

     ◇   歯の痛み薄れてをりぬ百日紅   ◇

百日紅1.jpg

百日紅2.jpg


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